Tokyo Midtown Design Hub

財団法人日本産業デザイン振興会

Social Design Design + Community + Social Impact The Latest from GOOD Magazine and IDEO



デザイナーという職に就いている人は、社会とどういう関係を持つべきか。デザイナーが持つクリエイティビティは今後何を生み出すべきなのか。そして「社会をデザインする」というコトは一体何なのか?「Design + Community + Social Impact」が生み出すモノとは?もしかすると、それは既存の「デザイナー」という枠組みを大きく飛び越した活動なのかもしれません。もしかすると、それはデザイナーという肩書より「社会のチェンジメーカー」という肩書が相応しいのかもしれません。ですが、それこそ「これからのデザイナー」の姿とも考えられます。

 

インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターを運営する財団法人日本産業デザイン振興会では、ニューヨークに拠点を持つJapan Society、国際交流基金日米センターと共同して、デザインと社会との関係をテーマとした公開フォーラムを開催します。Japan Societyは、日米両国の相互理解と友好関係を目的に様々な活動を続けているアメリカの民間非営利団体で、近年特に注力をしているプロジェクトのひとつに「日米イノベーターズネットワーク」があります。これはビジネス、デザイン、アート、市民社会の分野で活躍するリーダーや今後の活躍が期待される人から構成される個性豊かなコミュニティで、このネットワークを通じ日米両国が直面する様々な問題の解決策について共に考え、よりよい未来を築くことを主眼としています。

 

今回のパブリックフォーラムはこの「日米イノベーターズネットワーク」の一環とし、アメリカで2006年に創刊されその先駆的なコンセプト、クリエイティビティなどの面で現在最も注目されている雑誌『GOOD』の創立者、ディレクターのマックス・ショア、ケーシー・カプロウの2名、さらに現在はIDEO社でデジタルデザイン・エクスペリエンス部門のリーダーであり、かつデザイナー・教育者・ビジネスリーダーが環境と社会により良い影響をもたらすために協力するグローバルな連合体「デザイナーズ・アコード」を立ち上げたヴァレリー・ケーシーが来日し「ソーシャルデザイン」をテーマに開催します。

 

一人一人のデザイナーが現代社会とどういう関係を持つべきかが問われている中、アメリカで実際に活躍しリスペクトを得ているチェンジメーカーからのプレゼンテーションと、日本における同例の紹介、そしてゲストを交えたパネルディスカッションを行ない、現在、そして未来におけるデザイン、デザイナーの役割について参加者とともに考えていきます。


日時:2009年2月8日(日) 14:00~19:00

会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター(東京ミッドタウン タワー5F)

定員:80名

言語:英語・日本語(同時通訳)

参加費:無料

主催:財団法人日本産業デザイン振興会、Japan Society(NY)、国際交流基金 日米センター

協力:greenz.jp

レポート:

※当日の配布資料(PDFファイル)

1.プログラム・プロフィールなど

2.日本におけるソーシャルデザインマップ

※当日のレポート(PDFファイル)

レポート(日本語・配布資料含む、2.26MB、編集協力 greenz.jp)

レポート(英語、168KB、Japan Society)

※当日のサマリー(英語)

U.S.-Japan Innovators Network

※当日の動画ダイジェスト(英語)

Japan Society

※当日の全動画

greenzvideoチャンネル

プログラム

1.ソーシャル・デザインとは何か

14:10~15:10

1-1 U.S.編

プレゼンテーション1:Max Schorr(Co-founder & Community Director, GOOD Magazine)
雑誌『GOOD』のコンセプト、コミュニティ活動におけるデザインの役割

プレゼンテーション2:Casey Caplowe(Co-founder & Creative Director, GOOD Magazine)
雑誌『GOOD』におけるクリエイティビティとデザイナーの役割

15:10~15:40

1-2 日本編

プレゼンテーション3:池田正昭(クリエイティブディレクター/トーキョーチェンジメーカーズ&エコプラザ)
日本におけるソーシャルデザインの経緯

2.IDEOとデザイナーズ・アコードについて

15:45~16:30

プレゼンテーション4:Valerie Casey(Leader, Digital Design Experience, IDEO & Founder, The Designers Accord)

3.パネルディスカッション「今、デザイナーに求められていること」

16:45~18:00

パネラー

Max Schorr(Co-founder & Community Director, GOOD Magazine)
Casey Caplowe(Co-founder & Creative Director, GOOD Magazine)
Valerie Casey(Leader, Digital Design Experience, IDEO & Founder, The Designers Accord)
上田壮一(プロデューサー/Think the Earth プロジェクト)
永井一史(アートディレクター/HAKUHODO DESIGN)

ファシリテーター

池田正昭(クリエイティブディレクター/トーキョーチェンジメーカーズ&エコプラザ)

4.交流会

18:00~19:00

※プログラムは変更になる場合があります。

GOOD MAGAZINE

雑誌『GOOD』は、2006年9月に創刊した隔月誌。購読者数70,000人。
オーナー兼ファウダーはベン・ゴールドハーシュで、26歳時に創刊。GOOD社は、良いことを行い、良い生き方を求める人々を対象としたメディア会社で、社会をより良くすることを目的に、政治問題から環境問題、アートとデザイン、持続可能なライフスタイル、社会起業家と多岐にわたるテーマを『GOOD』では取り上げている。
雑誌のデザインクオリティは高く、ビジュアルとメッセージを巧みに融合した紙面づくりを行ない、業界紙メディア、インダストリー・ニュースレターで同年に創刊された最も注目すべき雑誌の一つと評価された。また2008年は、4つの賞をフォリオ雑誌賞から受賞するなど高い評価を得ている。現在は、ウェブ、ビデオ、ライブのイベントを通じて、会社の事業と読者のコミュニティ拡大を図っている。また様々な非営利団体との共催イベントなども頻繁に行っている。
http://www.good.is

マックス・ショア(Max Schorr)
Co-founder & Community Director, GOOD Magazine

雑誌『GOOD』の共同創立者兼コミュニティ・ディレクター。
マックス・ショアは共同創立者として雑誌の編集方針を創り上げ、「Choose GOOD(良いことをしよう)」キャンペーンを立ち上げた。このキャンペーンは、雑誌の定期購読者が購読料全額を、提携したNPOの中から好きなものを選んで寄付をするもので、5万人以上が定期購読者となり100万ドル以上を集めた。
社会をより良くすることを目的に、政治問題から環境、アートとデザイン、持続可能なライフスタイル、社会起業事業などのテーマをとりあげる。雑誌発行の他、ウェブサイト、ビデオ製作にも力を入れている。また、ライブのイベント事業をサンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンジェルス、オースチン、サンディエゴなど全米各地で主催し、読者や参加者によるコミュニティ作りを図っている。GOOD設立以前は、マサチューセッツ州アンドヴァーにある名門校フィリップス・アカデミーでマイノリティの学生に数学と科学を教えるプログラムの教師と責任者を務めた。ウェズリアン大学卒。

ケーシー・カプロウ(Casey Caplowe)
Co-founder & Creative Director, GOOD Magazine

雑誌『GOOD』の共同創立者兼クリエイティブ・ディレクター。
『GOOD』のビジョン確立に参与しクリエイティブの責任者として、編集方針と雑誌のデザイン、ブランディングを手がけている。カプロウの構想のもとで『GOOD』は、優れたデザインと個性的なビジュアルによって、創刊した年に早くも全米雑誌賞にノミネートされた。また2008年はクーパー・ヒューイットの投票で選ぶデザイン賞部門で2位に選ばれた。
ビジュアル・コミュニケーションに重点を置くカプロウは、斬新なグラフィックを駆使して、データや情報を表現し、ウェブ上でもインターアクティブな要素を取り入れたプロジェクトや、オンライン・ビデオの独特の作風をデザインしただけでなく、ウェブサイト「good.is」のデザインリニュアール全体を指揮。様々なメディアを使ったプロジェクトを通じて、将来的に同社がさらにオープンで、他者と協力するブランドに創り上げていくための基礎を構築している。GOOD設立の前には、2つのアパレル関連のベンチャー企業を立ち上げた。ブラウン大学卒。

ヴァレリー・ケーシー(Valerie Casey)
Leader, Digital Design Experience, IDEO & Founder, The Designers Accord

IDEO社デジタル部門で顧客サービスに関する戦略を担当。世界的な企業や組織の製品、サービス、ネットワーク、ビジネスモデルをよりよくデザインすることにより、社会と環境にポジティブなインパクトを与えることを目指す。2007年にNPO「デザイナーズ・アコード」を創立。デザイナー、企業、教育機関から構成されるグローバルな連合体として、地球環境の保護と持続可能な社会を活動や製品に取り込むことを目指す。現在100カ国以上から約140,000人が参加している。
IDEO社の前は、フロッグ・デザイン社のエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターとして、グローバル・デザイン部門の調査、デザイン戦略に携わる。それ以前は、サンフランシスコのペンタグラム・デザイン社でインタラクティブ・デザイン部門を立ち上げた。ケーシーの実績は現在まで数多くの雑誌に取り上げられている。2008年にはフォーチュン誌で「知るべき指導者」、ファースト・カンパニー誌で「デザインのマスター」と評された。国際的著名人で、活動は講演や大学教育など多岐にわたる。スワースモア・カレッジ卒。エール大学で文化理論とデザインの修士号を取得。2008年6月号『GOOD』でケーシーの活動が紹介される。
http://www.ideo.com
http://www.valcasey.com

The Designers Accord(NPO デザイナーズ・アコード)

デザイナー、教育者、ビジネスリーダーが、環境と社会により良い影響をもたらすために協力するグローバルな連合体で、2007年7月にカリフォルニアで創立。賛同者(会員)は、デザインを通じて環境や社会問題を解決するための方法論、情報、経験を共有するコミュニティに加わることができる。デザイナーズ・アコードが設けた行動指針「5つのガイドライン」は、デザイン界の京都議定書と呼ばれている。
デザイナーズ・アコードのビジョンは、持続可能な社会を作り出すための原則をデザインの実践や製造過程に反映させることにある。気候変動や人道的諸問題に対して創造的な方法で立ち向かうために知恵を集結し、クリエイティブなコミュニティにイノベーションをもたらすことを使命とする。
またデザイナーズ・アコードでは、競争に走らずに、問題解決のための最善の方法を出来る限り共有し、効果的かつ迅速に現状を変えていくことを奨励している。賛同者は、すべての顧客とビジネスが社会と環境に及ぼす影響について話し合い、持続可能であることをテーマにした代替案を取り入れる。持続可能な製品、サービス、ビジネスを創り出すための機会や問題点について話し合う場をオンラインでも実社会でも設けている。デザイナーズ・アコードの試みは「組織のトップから現場の人間の考え方だけでなく、歯ブラシから飛行機といった製品の製造の過程まで、デザイン界の文化に変容をもたらしている」とビジネス誌「ファスト・カンパニー」で評されている。
http://www.designersaccord.org

現在の会員数
14万人(100カ国以上から参加。会員の半数以上は米国外の国)
デザイナーズ・アコードを取り入れている大手デザイン会社
IDEO、フロッグ・デザイン、コンティニュウム、スマート・デザイン、ZIBA、BMWデザインワークス、ペンタグラムなど
デザイナーズ・アコードを取り入れている企業
オートデスク、ジョンソン&ジョンソン、スチールケース、GOODマガジン、サッピ、モーホーク・ペーパー、ニュー・リーフ・ペーパーなど
デザイナーズ・アコードを取り入れている教育機関
カリフォルニア・カレッジ・オブ・ザ・アーツ、サバンナ・カレッジ・オブ・アート・デザイン、南カリフォルニア大学デザイン学部、モンテレー工科大学デザイン学校、ヘルシンキ美術デザイン大学、スウィンバーン大学など

米国の2大デザイン団体AIGA(米国グラフィックデザイナー協会)とIDSA(米国工業デザイナー協会)とCUMULUS(世界最大の芸術・デザイン大学の連合組織クムルス)は、デザイナーズ・アコードに対し支持表明をしている。

池田正昭(Masaaki Ikeda)
クリエイティブディレクター/トーキョーチェンジメーカーズ、エコプラザ

1961年神戸市生まれ。1985年東京大学文学部卒業後、同年株式会社博報堂入社。コピーライターを経て、同社が発行する雑誌『広告』の編集者に。2001年に「future social design」をテーマに同誌をリニューアル。雑誌から社会変革が立ち上がることを試み、地域通貨アースデイマネーなどを誕生させる。同誌編集長解任後、2003年夏に環境ムーブメント「打ち水大作戦」を創始。2006年3月同社退社後、みなと環境にやさしい事業者会議(2006)、more trees(2007)、港区立エコプラザ(2008)、トーキョーチェンジメーカーズ(2008)などを立ち上げる。毎日アースデイ株式会社代表取締役社長。
http://www.tokyochangemakers.com/

上田壮一(Soichi Ueda)
プロデューサー/株式会社スペースポート COO クリエイティブ・ディレクター、Think the Earthプロジェクト プロデューサー

1965年兵庫県生まれ。東京大学大学院 機械工学修士課程卒業。96年広告代理店を退社後、フリーランスとして映像・インターネットなど様々なジャンルの企画とディレクションに携わる。主な作品はワールドインターネットエクスポ’96・日本テーマ館「センソリウム」、テレビ番組「いのちの響」など。1997年に地球時計アースウォッチを企画したことがきっかけで、2000年、ソーシャル・クリエイティブの拠点として株式会社スペースポート設立。ビジネスを通じた社会貢献活動を目的とする非営利団体「Think the Earth プロジェクト」のプロデューサーとして、地球時計wn-1(グッドデザイン賞)や写真集『百年の愚行』(NY-ADC銀賞)、ビジュアルブック『1秒の世界』、『世界を変えるお金の使い方』、『気候変動+2℃』、携帯電話アプリケーション「live earth」など、社会性とデザイン性に優れたプロジェクトを次々と手掛ける。その他、「ネイチャーネットワーク」(日経インターネットアワード受賞)、「先見日記」などウェブサイトの企画・制作も行っている。食と環境をテーマとしたビジュアルブック『たべものがたり』を3月に発行予定。
http://www.thinktheearth.net/

永井一史(Kazufumi Nagai)
アートディレクター/株式会社HAKUHODO DESIGN 代表取締役社長

1961年生まれ。1985年多摩美術大学美術学部デザイン学科卒業後、博報堂入社。2003年ブランディングを中心とした会社、株式会社HAKUHODO DESIGNを設立。主な仕事に、サントリー「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」、日産自動車「TEANA」、資生堂「企業広告」、日本郵政「民営化」「年賀キャンペーン」など。日経広告賞グランプリ、クリエイター・オブ・ザ・イヤー、ADC賞グランプリ、毎日デザイン賞など受賞多数。