「『DESIGN』の意味を取り違えた日本」 【リエゾンセンター・ライブラリーのブックイベント】
村田智明氏による DESIGN THINKING 3回連続セミナー
- 開催年:2020
- 企画:リエゾンセンター・ライブラリー
- タグ:ライブラリーオンライン配信
リエゾンセンター・ライブラリーは、東京ミッドタウン・
デザインハブ内にオープンした不定期のデザインライブラリー。現在は一時休室中ですが、オンラインでご参加いただけるブックイベントを開催いたします。
今回は、デザイナー・村田智明氏を講師にお迎えし、著作から「DESIGN THINKING」を改めて学ぶ全3回のセミナーを実施します。
ポストコロナの時代、もし世界標準の「DESIGN」へマインドシフトができなければ、日本は最後のチャンスを逃すことになります。「DESIGN」の本来の役割はビジュアル表現だけではありません。
「DESIGN」の本来の役割を3回のセミナーで考えます。
「DESIGN」という世界共通の言葉。
でも、日本だけが高度経済成長期に「意匠」と訳したことで、ビジュアル以外の要素である計画・企画を意味する「PLANNING」が抜け落ちてしまいました。誰もが多用する「デザイン」という言葉は日本独自の解釈なのです。
その状況下でCOVID-19が私たちに与えた試練は、「PLANNING」の欠如に対する警告でした。これから起こる事象を想定し、危機管理を行い、同時に未来を描く「DESIGN」が欠けていたのです。
次の時代を生きるために、行政や公的機関、企業や法人団体、教育機関が「DESIGN」に対する意識を変え、そしてそれらをプロデュースしていく私たち「デザイナー」の必要性も理解し活かしていかなければなりません。
形而上的に語られることの多かった「デザイン思考」について、具体的に書籍を解説しながら3つの切り口でオンラインセミナーを開催いたします。夜のセミナーですので、グラスを片手にご参加ください。
【開催日程】
第1回:7月1日(水) 第2回:8月5日(水) 第3回:9月2日(水)
各回 20:00-22:00
【参加費】各回無料
【対象】「DESIGN」に興味のあるすべての方々、「DESIGN」には興味がないすべての方々
【協賛】朝日新聞出版/生産性出版/アップルシードエージェンシー株式会社/株式会社ハーズ実験デザイン研究所
【講師】
村田 智明
株式会社ハーズ実験デザイン研究所 / METAPHYS 代表取締役
大阪市立大学工学部応用物理学科卒。1986年同社設立。
デザイン思考から企画開発をサポートするデザインシンクタンクとして知られ、提唱するS.S.F.B法や感性価値ヘキサゴングラフなどが広く活用されている。プロダクトを中心に、Gマーク金賞、DFAグランプリ、RED DOT BEST OF BEST、iF DESIGN AWARD GOLDなどを始め国内外のデザインアワードで160以上を受賞。Microsoft「Xbox360」を始めとする世界記録を達成したデザインで、Newsweekの「世界が注目する日本の中小企業100社」に選定される。
自ら運営するMETAPHYSは、「行為のデザイン」に基づいて開発から販売までを実践。また、感性価値創造ミュージアムや東京都美術館新伝統工芸プロデュース事業、越前のiiza、鳥取のなんぶ里山デザイン大学、新潟の百年物語やデザインラボ、奈良県産材のTEUDなど、地域振興にも多く携わる傍ら、eco products design competition 2007~2010、 social design conference 2011~2015の開催を通じて、社会性を持ったデザインの啓蒙に尽力している。
著書『ソーシャルデザインの教科書』、『問題解決に効く行為のデザイン思考法』、『感性ポテンシャル思考法』、『「バグトリデザイン」事例に学ぶ「行為のデザイン」思考』。
第1回 7月1日(水) 20:00~22:00 ZOOM入場19:50-
「バグトリデザイン」発刊記念講演
行為をデザインすることで適正解を考える~「行為のデザイン」思考
第1回は、2月20日に発刊された『バグトリデザイン』から。
「デザイン性と使い勝手は相反するもの」、この古い通説も「DESIGN」が間違って解釈されている所以です。この通説を真っ向から覆すのが「行為のデザイン」です。
人の行為や感情を分析したうえでのデザインには、もはやマニュアルは要りません。様々な人に対応する目線でのシミュレーションが、ビジュアルの美しさだけでない、時間軸のデザインを生み出し、美しい行為(適正解)を導きます。行為のデザインは、人を中心に置いた時間のデザインなのです。
※朝日新聞出版のwebサイトからワークショップ用のシートを無料でダウンロードできます。
参考書籍:
『バグトリデザイン 事例に学ぶ「行為のデザイン」思考』 朝日新聞出版
『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』 CCCメディアハウス
第2回 8月5日(水) 20:00~22:00 ZOOM入場19:50-
人によっては0にも100にもなりえる感性を考える ~「感性ポテンシャル」思考
私たちのマーケットでは、既に「機能と価格で商品価値を判断する」時代は終わり、ユーザーの感性に働きかけ、感動や共感を得ることで顕在化する「感性価値」がサービス創出やモノづくり、地域創生に必要な資源となっています。しかし、感性の及ぼす効果を数値化しにくいため、企画に反映されないケースが多いのも事実です。
そのために、私たちは企業やその商品、人物、地域が持つ背景やエピソード、歴史をはじめ、技術に込められた思いなどの感性情報に対し、誰にどの情報をどうやって発信するのが最も効果的に繋がり、共感を得られるのかを考え、サービス創出や商品開発を感性の観点から探る思考法の開発を行いました。
参考書籍:
『0からのビジネスイノベーション「感性ポテンシャル思考法」』 生産性出版
第3回 9月2日(水) 20:00~22:00 ZOOM入場19:50-
社会課題を解決するデザインを考える~「ソーシャルデザイン」思考
東京と大阪で開催された4年間のソーシャルデザインカンファレンスでは、延べ60人の登壇者がそれぞれのソーシャルデザインの実践について語りました。それをBefore、Afterの視点で事業プランをピクトグラム化したのが「ソーシャルデザインの教科書」です。
3回目は、この本を題材に「ソーシャルデザイン」の視点で「DESIGN」を考えます。
デザインが地球や社会に対して正しい視点でなければ、その事業はサステナブルな営みを続けることはできないでしょう。資源問題、健康問題、自然災害、震災復興、地域格差、環境問題、所得格差、IT格差、教育問題など社会課題を解決するソーシャルデザインの実践によって、自分もまた生かされていくというCSVの観点で考えていきます。
参考書籍:
『ソーシャルデザインの教科書』 生産性出版