リエゾンセンター・ライブラリーのブックイベント
『建築家による「日本」のディテール』刊行記念トーク 青柳憲昌 × 倉方俊輔 × 門脇耕三 今なぜ「日本」のディテールなのか?
「リエゾンセンター・ライブラリー」は、東京ミッドタウン・デザインハブ内に月10日ほど不定期でオープンするデザインライブラリー。「リエゾンセンター・ライブラリーのブックイベント」として、ライブラリーに届いたデザイン関連の新刊本の著者の方などをゲストにお迎えし、書籍やそのテーマを深掘りするトークイベントを開催しています。
今回は、『建築家による「日本」のディテール モダニズムによる伝統構法の解釈と再現』の書籍の刊行を記念して、著者である建築史家の青柳憲昌氏、帯に推薦文を寄せられている同じく建築史家の倉方俊輔氏と、建築家で構法を専門とされている門脇耕三氏によるトークイベントをオンライン開催します。
明治時代以降の近代日本の建築界では、「日本的なものとは何か?」という問いが繰り返されてきました。そこでは、急激な近代化に揺れる日本人のアイデンティティーの所在と、日本の建築文化継承の是非が問われていました。
戦後、丹下健三、吉田五十八、篠原一男ら著名な建築家たちは、西洋由来のモダニズムと、「日本的なもの」との間で葛藤しつつ、「日本の伝統構法」を自ら解釈したうえで、それを現実の設計条件下で独自の意匠として表現しました。
その葛藤の痕跡は残された彼らの建築作品や設計図に見ることができます。
本書は、12人の建築家による28作品の図面から、そうした思考の痕跡を「ディテール」を通して読み解いてみよう、という試みです。
今回は、本書についてご紹介いただくほか、今なぜ改めて「日本的なもの」が注目されているのか?や、いくつかの著名な建築を例に「日本的」とされるディテールなどについて、建築を専門としない方でも楽しんでいただけるようざっくばらんにトークいただきます。
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『建築家による「日本」のディテール モダニズムによる伝統構法の解釈と再現』刊行記念トークイベント
今なぜ「日本」のディテールなのか?
【開催概要】
日時:2024年 1月26日 (金) 19:00 - 20:30
視聴無料/予約不要でどなたでもご視聴いただけます。
※Peatixでの申込み不要ですが、お申込みいただいた方には開催前にリマインドメールをお送りいたします。
お申込みはこちら
視聴方法:Zoom ウェビナー*/YouTubeLive**
* 視聴者参加型。トーク中に質問やコメントをリアルタイムで送信いただけます。Q&Aセッションあり。
** 視聴のみ可能。ライブ終了後もアーカイブでご視聴いただけます。
URL(以下より直接ご視聴ください)
Zoom ウェビナー:
https://us06web.zoom.us/j/85298570042?pwd=uZLHGTaXO9n6NBAbQkoK2D9WvoZNhg.XoKNMqU7vMm5WZ2C
パスコード:358675
YoutubeLive:https://youtube.com/live/HQZWzoh0IJ8?feature=share
【スピーカー】
青柳憲昌(あおやぎのりまさ)/『建築家による「日本」のディテール 』著者
建築史家。立命館大学准教授。
日本建築史、文化財保存史をはじめ、復元建築や歴史都市防災などに関する広範な研究活動を展開するとともに、日本の建築文化継承のため、関西を中心に歴史的建築の保存活動・フィールドワークにも数多く携わっている。
著書に『建築家による「日本」のディテール』(彰国社、2023)のほか、『日本近代の建築保存方法論』(中央公論美術出版、2019、建築史学会賞受賞)、『建築史家・大岡實の建築──鉄筋コンクリート造による伝統表現の試み』(川崎市立日本民家園、2013、共著、日本建築学会著作賞受賞)など。保存改修作品として「西陣寺之内通の町家」(共作、2021)がある。
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倉方俊輔(くらかたしゅんすけ)
建築史家。大阪公立大学教授。
日本近現代の建築史の研究と並行して、建築の価値を社会に広く伝える活動を行っている。日本最大の建築公開イベント「イケフェス大阪」、「京都モダン建築祭」に実行委員として立ち上げから関わり、日本建築学会賞(業績)、グッドデザイン賞グッドデザインベスト100などを受賞。
著書に『京都 近現代建築ものがたり』(平凡社)、『東京モダン建築さんぽ』(エクスナレッジ)、『吉祥寺ハモニカ横丁のつくり方』(彰国社)、『伊東忠太建築著作集』(ゆまに書房)、『吉阪隆正とル・コルビュジエ』(王国社)など。
門脇耕三(かどわきこうぞう)
建築家。明治大学准教授、アソシエイツ株式会社・一級建築士事務所パートナー。 明治大学出版会編集委員長。
専門は建築構法、構法計画、建築設計。建築の物的なエレメント(柱、梁、壁、床、窓など)と構法を起点とする独自の建築論の構築を試みている。第17回ヴェネチア·ビエンナーレ国際建築展では日本館のキュレーターとして、日本家屋を解体、現地で再築する展示を主導した。
著書に『ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡』(編者、TOTO出版、2020)、『建築家の基点』(共著、彰国社)など。作品に『門脇邸』(日本建築学会作品選奨受賞)、『メタルラボのアネックス』、『元速水医院』など。
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【書籍について】 *リエゾンセンターライブラリーでお読みいただけます。
『建築家による「日本」のディテール モダニズムによる伝統構法の解釈と再現』
発行:彰国社
著者:青柳憲昌
定価:3,740円(本体3,400円+税)
発売:2023年9月
A4 144ページ
ISBN:978-4-395-32196-4
戦後「日本的なもの」とは何かという問題について、建築家は伝統意匠の中から近現代にふさわしい表現を模索した。本書は丹下健三はじめ12人の建築家による28作品の伝統意匠の詳細な解釈と「ディテール」を、図面で読み解く。
21世紀の今、再び「日本」は建築における主題となりつつあり、建築家の思索を辿ることは多くの示唆を与える。
[主な目次]
序論 いまなぜ「日本」のディテールなのか ー 近代日本の建築家たちによる構法の詩学
PART1 「近代」の日本化ー近代テクノロジ ー の地域化
01 建築の「レガシー」とは何か ー 丹下健三
02 RC造にふさわしい「伝統」とは何か ー 吉田五十八
03 テクニカル・アプローチを経由した「伝統」との邂逅 ー 前川國男
04 工業化の先にある「日本」の肌触り ー 吉阪隆正
05 伝統木造を「進化」させるーメタボリズムから「自在づくり」へ ー 菊竹清訓
06 プリミティヴィズムが表出する「日本」の根源 ー 篠原一男
07 構法的折衷による「空間の骨格」のディテール ー 林雅子
|Intermission| 伝統のエレメントを現代化するー床の間と木製建具のケーススタディ
PART2 「日本」の近代化──伝統構法の批判的合理化
08 戦後の「新興数寄屋」 ー 吉田五十八
09 復元主義者による現代数寄屋 ー 堀口捨己
10 「線」を減らして空間を抽象化する ー 清家清
11 新建材とディテールによる「レーモンド・スタイル」の成立 ー アントニン・レーモンド
12 民家のディテールを再編成する ー 吉村順三
13 篠原一男の「第1の様式」ー 象徴空間が湛える日本の「情感」 ー 篠原一男
14 鉄骨住宅の反省から伝統構法の批判的合理化へ ー 広瀬鎌二
終章 「伝統」と「近代」の架け橋 ー 一九五〇年代のディテールの現代性