International Design Symposium 2010

16世紀に始まった資本主義、そして20世紀初頭にヘンリー・フォードが生み出した大量消費社会の構造は今まさに変化を迎えようとしています。それは19 世紀に登場した社会主義とは違う新たな社会システムといえるでしょう。ただ、その経済モデルはまだ明確には打ちだされていません。しかしながらサスティナブル・デザインに代表されるような持続性、循環性は大量消費のモデルとは一線を画しており、新たなモデルの一端を示しているとも考えられます。
一方、デザインの世界ではそのような大きな変化に伴い、ソリューションという考え方が重要視されるようになってきました。この考え方によってデザインはものづくりからシステム全体へと視野を大きく広げるようになってきました。しかしながら、それは「問題解決」というアプローチ手法であり、変化に伴い発生する新たなモチベーション、そしてスパイラルアップの構造にまで中々アプローチし難いものでもあります。ですが、そこにこそ新たなデザインのアプローチ「ポスト・ソリューション」があると我々は考えます。 そこで、このシンポジウムでは新たなデザインのアプローチ「ポスト・ソリューション」のあり方を経済モデルという最も大きな枠から徐々に絞り込みつつ考え議論します。

日時:1月28日 13:00~18:00、1月29日 13:00~17:00
会場:東京ミッドタウン・カンファレンス Room1~4
定員:100名
言語:同時通訳(日⇔英)
参加費:5,000円

スケジュール:

1月28日

13:00 – 14:00 キーノートスピーチ

(Part.1:財団法人日本産業デザイン振興会 橋本陽夫)
(Part.2:Pratt Institute Mary McBride教授)

14:00 – 14:20 コーヒーブレイク
14:20 – 16:00 セッション1「社会的変化とデザイン」

 これまでの資本主義社会とは少し一線を画しつつも、これまでの社会主義とは少し違った新たな社会システムを構築しつつあるフィンラン ド。そして、まさにこれからの国として注目されているインド。資本主義経済のメインストリームであるアメリカ。日本と同じような状況下にある韓国。国境を越えて一体化しつつあるEU諸国。世界をざっと眺め回してもそれぞれが抱える状況、そして向かおうとしている方向性は大きく違っている。とはいいつつも、先に行われたCOP15のように、何とかして世界中の足並みを揃えようと画策する動きもある。少し視点を変えてみれば、世界金融危機に端を発する不況と資本主義に対する疑問符は全世界中で唯一の共通項とも考えることができ、それらに対して何らかの答えを出さなければならない状況はある種、足並みが揃った状況とも考えることができる。
これらの状況の違う社会の様々な動きをワールドワイドに比較しつつ、世界がこれから向こうとしている「新たな社会」の方向性を探る。
【スピーカー】
Indian Institute of Technology : Uday Athavankar教授(予定)
Korea Advanced Institute of Science and Technology(KAIST) : LEE, Kun-pyo教授
Pratt Institute : Mary McBride教授
TOMATO : 長谷川踏太
University of Art and Design Helsinki(TAiK:Aalto University School of Art and Design) : Turkka Keinonen教授
財団法人日本産業デザイン振興会 : 蘆澤雄亮
16:00 – 16:20 コーヒーブレイク
16:20 – 18:00 セッション2「サスティナブルと経済モデル」

経済的な観点から「サスティナブル」を見つめ直した時、その動きは大量消費社会のモデルとは親和性の薄い動きであり、これまでの経済モデルとは少し違った概念が必要とされると推測される。経済的なサスティナビリティを実現するモデル、そしてそれを後押しするプロダクトのあり方はこれまでと全く違った姿かもしれない。Circulation、Continuance、Durable・・・そこには様々なキーワードが隠されている。
そこで、このセッションではサスティナブルに焦点を当てつつ、新たな経済モデルの方向性を探る。
【スピーカー】
Delft University of Technology : Gerda Gemser准教授
German Design Council : Andrej Kupetz(Managing Director)
Illinois Institute of Technology : Patrick Whitney教授
経済産業省 製造産業局 デザイン・人間生活システム政策室 高木美香
スズキ株式会社 : 四輪デザイン部 先行デザイン課 結城康和
セイコーインスツル株式会社 : コーポレートデザイン部 スペシャリスト 副主幹 久米寿明
財団法人日本産業デザイン振興会 : 橋本陽夫

1月29日
13:00 – 15:30 セッション3「デザイナーの持つべき視点と果たすべき役割」

シンポジウム1日目を踏まえつつ、これからの社会、経済モデルとそれに付随したデザインの役割、そしてデザイナーが持つべき視点とは一体いかなるものであるかを議論する。このセッションでは多才なチャレンジをしているクリエイター達の独自視点からインダストリアルデザインを見直す試みを行う。
13:00 – 14:00 プレゼンテーション
14:00 – 15:30 ディスカッション
【スピーカー】
Landscape Products Co.,Ltd. : 代表 中原慎一郎
GROOVISIONS : 代表 伊藤 弘
BE A GOOD NEIGHBOR : 代表 岡本 仁(relax元編集長、Brutus ku:nel元編集部員)
暮らしの手帖: 取締役編集長 松浦弥太郎
財団法人日本産業デザイン振興会 : 橋本陽夫

15:30 – 16:30 ファイナル・セッション「Post Solutionとは?」
これまでのセッションを踏まえ、Post Solutionのあり方を議論する。
【スピーカー】
Pratt Institute : Mary McBride教授
German Design Council : Andrej Kupetz(Managing Director)
暮らしの手帖: 取締役編集長 松浦弥太郎
財団法人日本産業デザイン振興会 : 橋本陽夫

16:30 – 17:00 まとめ

スピーカー

長谷川踏太(はせがわ とうた)
英国ロイヤルカレッジオブアート(Royal College of Art)、インタラクションデザイン科卒。
その後、ソニー株式会社勤務などを経て、英国ロンドンに本拠を置くクリエイティブ集団TOMATOに所属。インターネット広告やコーポレートアイデンティティなどの分野でインタラクティブな作品を発表。その他、アーティストとしての作品制作や文筆活動も行う。

1972年 東京生まれ。
1995年:University of Westminster コンテンポラリーメディアstudies 科卒。
1997年:Royal College of Artインタラクションデザイン科卒/Levis Original & CO Competition (UK) 最終選考/CRIATIVE REVIEW (UK) CREATIVE FUTURE97 (MULTIMEDIA部門)受賞
1998年:日本に帰国、Sony株式会社入社(クリエイティブセンターインタラクションデザイン部HIGP 配属)/MILIA ニュータレントパビリオンにMicrophone Fiend出展/CDrom “Microphone Fiend” Digitalogue より 発売
1999年:デンマークKolding Design School にてworkshop Emotion & Immersion参加/ソニーコンピュータサイエンス研究所インタラクションラボ/デンマークKolding Design School インタラクティブデザイン科講師
2000年:ソニーコンピュータサイエンス研究所インタラクションラボassociate research designer
2001年:仙台メディアテーク オープニング “4bit sighted”出品/再度渡英、ロンドンでtomatoのメンバーとして活動。

■主な作品
Microphone Fiend (CDrom )デジタローグ(1998)
U-beat (shockwave) hotwired clickart (1998)
tokitoki.com/wakowako.com (web) Mitsubishi Motors (2001)
Mind the Banner Project(Web広告) NTT DATA /TYO (2001)
Sony Connected Identity(Corporate Identity + web + kiosk) Sony Corp. (2001)
TV asahi コーポレートアイデンティティ (2002)
Electraglideビジュアル総合演出 (2003)
KDDI “you me who” (2005)
Uniqlo x tezuka project (2007)
roppongi crossing 2007 “_時_分のパターン”出品  森美術館(2007-2008)
chomp chomp akihabara 正面モニュメント ”o-clock” デザイン(2008)
BeeTV (avex entertainment) UIデザイン、コンサルタント (2009)
他、多数

 

高木美香(たかぎ みか)
1980年、神戸生まれ。経済産業省デザイン室室長補佐。東京大学経済学部、スタンフォード大学MBA/MA in Education卒。現在、デザインを産業競争力の一つとして育てる「デザインの振興」と、デザインの力で日本や海外の社会問題を解決する「ソーシャルデザイン推進」になんとか貢献するため格闘中。

 

結城康和(ゆうき やすかず)
スズキ(株)四輪デザイン部 先行デザイン課。1970年生まれ。金沢美術工芸大卒。
量産車のエクステリアデザイン業務と、コンセプトカーや社内先行開発などの先行デザイン業務とを、行ったり来たりしながら担当。2004年より~2009年まで、軽自動車系のチーフデザイナーとして、軽自動車を中心とした量産車のデザインディレクションを担当。2009年春より、再び横浜の先行デザイン課に配属(現職)将来のスモールカー像や、車の新しい楽しさの価値観などを模索中。

<作品(代表的なもの)>
■量産車
・ジムニー(1998年)エクステリア:1998年Gマーク受賞、2008ロングライフデザイン賞
・スイフト(2004年)エクステリア:2005年Gマーク受賞
・MRワゴン(2006年)チーフデザイナー:2006年Gマーク受賞
・セルボ(2007年)チーフデザイナー:2007年Gマーク受賞
・ラパン(2008年)チーフデザイナー:2008年Gマーク受賞
■コンセプトカー
・GSX-R/4(2001年フランクフルト)内外装
・Lapin-Concept(2001年東京:ラパンのコンセプトカー)内外装
・CONCEPT-S(2002年パリ:スイフトのコンセプトカー初号機)
・CONCEPT-S2(2003年フランクフルト:スイフトコンセプトカーの弐号機)

 

久米寿明(くめ としあき)

1957年 東京立川生まれ。
1981年 千葉大学工学部工業意匠科卒。
1981年 第二精工舎(現セイコーインスツル株式会社)ウオッチデザイン部入社。
1995年 ALBAスプーンDQのデザイン担当。
1997年 NIKEランニングDQのデザイン担当。
2003年 DoCoMo腕型携帯電話「WRISTMO」のデザイン担当
2009年 セイコーインスツル株式会社デザイン総括部コーポレートデザイン部スペシャリスト/千葉大学工学部デザイン科非常勤講師/千葉工業大学デザイン科学科特別講師

 

伊藤 弘(いとう ひろし)
groovisionsは1993年結成。グラフィックやムービー制作を中心に、アート、出版、プロダクト、インテリア、ファッション、ウェブなど多様なメディアで活動するデザインチーム。オリジナルキャラクター、chappieのマネジメントも行う。主な活動に、リップスライム、スネオヘアー、Fantastic Plastic MachineなどのCDパッケージやプロモーションビデオ制作、明治製菓「100%ChocolateCafe.」をはじめとする店舗のVIやサイン設計、『Metro min』誌などのアートディレクションやエディトリアルデザイン、メゾンエルメスのウィンドウディスプレイのディレクション、『ノースフェイス展』など展覧会でのアートディレクション、EXPO 2005 AICHI JAPAN 愛・地球博や農林水産省の映像資料「食料の未来を確かなものにするために」でのモーショングラフィック制作などがあげられる。また、村上隆氏キュレーションの『スーパーフラット展』『ぬりえ展』への出展や、2006年には香港で個展『GROOVISIONS HKG』なども行った。
ウェブサイト:www.groovisions.com

 

中原慎一郎(なかはら しんいちろう)
1971年、鹿児島県生まれ。ランドスケーププロダクツ代表。鹿児島大学卒業後、桑沢デザイン研究所にて聴講。オリジナル家具等を扱う「Playmountain」、カフェ「TasYard」、紙と印刷にまつわる専門店「PAPIER LABO.」、子どものためのショップ「CHIGO」、鹿児島に複合店「DWELL playmountain」を展開。店舗設計業務も行う。

 

松浦弥太郎(まつうら やたろう)
1965年東京生まれ。「暮しの手帖」取締役編集長。
「COWBOOKS」代表。文筆家。18歳で渡米し、アメリカの書店文化に関心を持ち、帰国後に書店を開業。02年からセレクト本屋「COWBOOKS」をスタート。06年から「暮しの手帖」編集長に就任し現在に至る。
著書に「本業失格」「松浦弥太郎随筆集くちぶえサンドイッチ」 (集英社者文庫)、「日々の100」(青山出版)、「今日もていねいに」「あたらしいあたりまえ」(PHPエディターズ)他、 多数。

 

岡本 仁(おかもと ひとし)
1954年北海道生まれ。マガジンハウスにて「BRUTUS」 「relax」「ku:nel」等の雑誌編集に携わったのち、2009年、有限会社ランドスケーププロダクツ入社。新プロジェクト「BE A GOOD NEIGHBOR」を担当している。
著書に『今日の買い物』『続 今日の買い物』 (ともにプチグラパブリッシング)。1月30日には編著「BE A GOOD NEIGHBOR ぼくの鹿児島案内」が発売予定。

 

LEE, Kun-pyo(KAIST)
Korea Advanced Institute of Science and Technology(KAIST)インダストリアルデザイン学科長。
Human-Centered Interaction Design Labディレクター。
International Association of Societies of Design Research (IASDR)事務局長。
Korea Society for Emotion and Sensibility and Korean Society of Design Science前理事長。
UXnet, Human-Centered Design Network, and Design & Emotion Societyアドバイザリーボード
1st Osaka International Design Competitionで様々なデザイン賞を受賞。
2nd Asian Design Conference、2004 HCI 2005 KSDSなどでベストペーパー賞を受賞。
Design magazineでデザイナーオブザイヤー受賞。

 

Gerda Gemser(Delft University of Technology)
Rotterdam School of Managementにて博士号取得。現在はデルフト工科大学イノベーションマネージメント准教授。特筆すべき研究にオランダ政府とDesign Associationsと協力し、会社とプロジェクトパフォーマンスに関して工業デザイン(マネジメント)の影響に関する研究がある。また、クリエイティブインダストリーにおける価値創造と価値予算プロセスに関する研究も行っている。Organization Science、Organization Studies, Journal of Management、The Design Journal、Journal of Product Innovation Managementなど、様々な学会で論文を発表している。

 

Mary McBride(Pratt Institute)
Pratt Instituteデザインマネジメントの経済、デザイン、マネジメント戦略に関するリーダー。ニューヨーク大学スターン経営大学院Management Decision Laboratoryディレクター。同大学の臨床学教授。また、SPCインターナショナルにおいても戦略的リーダーシップと管理プラクティスに携わる。専門領域はマーケティング、戦略的プランニング、デザインマネジメント、オペレーション分析、組織的デベロップメントなど。NGOや公共的組織でも活発に活動を行っている。

 

Turkka Keinonen(University of Art and Design Helsinki/Aalto University School of Art and Design)
2001年よりAalto University School of Art and Designのインダストリアルデザイン教授。人間中心デザインを指導している。1998年にヘルシンキ芸術デザイン大学にて博士号取得。ザインコンサルタント、ノキアリサーチセンター研究員、シンガポール国立大学客員教授などの職歴を持つ。著書には「One-dimensional usability (1998)」「Mobile Usability (2003)」「Product Concept Design (2006)」などがある。

 

Patrick Whitney(Institute of Design, Illinois Institute of Technology)
Steelcase and Robert C. Pew Professor。イリノイ工科大学インスティテュートオブデザインのディレクター。デザインとビジネス戦略とのリンクやインタラクティブコミュニケーションやプロダクトのデザインメソッドにフォーカスした「テクノロジーイノベーションの起こし方」に関する研究を行っている。Aetna、Texas Instruments、McDonald’s、RTC Industries、Zebra Technologiesなどと共同研究を行っている。

 

Uday Athavankar(Industrial Design Centre (IDC), Indian Institute of Technology)
イリノイ工科大学インスティテュートオブデザインで建築学を専攻。企業でコンサルティングを行う傍らデザイン教育や研究を行う。現・インド工科大学Industrial Design Centre学科長。フレームワークとして認知理論を使い、認知科学、意味論とデザインの関係に関する研究を行っている。主にメンタルイメージや空間認知、ヴィジュアルシンキングに着目したデザインソリューションを行っている。

 

Andrej Kupetz(German Design Council)
German Design Councilマネージングディレクター。ベルリン、ロンドン、パリでインダストリアルデザインやプロダクトマーケティングを学んだ後、様々な大学でデザインマネージメントや連携事業に従事。その後、German Railways (Deutschen Bahn AG)のブランドマネジメントに従事。2006年~2007年、Zollverein School of Management and Design学長。Design Management Institute Bostenアドバイザリーボード。University of Arts Berlin客員教授。